プロデューサー(以下、P)「社長、ちょっとお話が」
高木社長(以下、T)「何だね?」
「実は、春香と千早のユニットのことで、相談したいことが」
「順調にファン数も伸びて、なかなか好調だそうじゃないか?」
「そうなんですが、ここに来て少し伸び悩んでいる感じなんです」
「ほほう?」
「それで、ユニットとしての活動を一旦休止して、それぞれにソロ活動をさせてみてはどうかと考えているんです」
「その意図するところを聞かせてもらえるかね」
「はい。明るく活発な春香と、ストイックでクールな千早。一見ミスマッチとも思えるコンビですが、これまではお互いが切磋琢磨して、非常に良い効果を生んできました。これは、セールスの数字にも現れていますし、社長も納得していただけると思います」
「うむ」
「このままユニットとしての活動を続けていってもいいのでしょうが、ちょっとプロデューサーとしての欲が出てきてしまったんですね。異なる個性を持つ二人だから、一度別々に活動させて、それぞれの持ち味を存分に発揮させてみたい。そう思ってしまったわけです」
「なるほど。デュオとして活動していれば、それぞれの個性はある程度抑えなければならんからな」
「はい。もちろん、春香と千早は仲もいいし、よい相乗効果を発揮できていると思います。ですが、ソロだからこそできる仕事もあるはずで、そういう意味で彼女たちにはもっと活躍の場を与えたいし、いろんな経験を積んで欲しい。その上で、再度ユニットとしての活動を行えば、また新たな魅力を引き出せるんじゃないかと」
「うむ。いいねぇ。ぜひやってみたまえ!」
「ありがとうございます。で、それにあたって一つお願いがあるんです」
「何だね?」
「実は、春香のプロデュースを別のプロデューサーに担当してほしいんです」
「では、君はプロデュースを降りるのかね」
「はい。千早のプロデュースはとても大変なので、それに専念したいんです。千早と春香を同時かつ別々にプロデュースするのは荷が重すぎます」
「確かに、二人ともトップクラスのアイドルだからな。仕事量も多くなるだろう。君ひとりで回していくのは、確かに無理があるかもしれんな」
「ですので、春香の担当プロデューサーを手配していただけますか」
「わかった。そういうことであれば、何とかしよう」
「ありがとうございます、社長」


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